桜木に寄せて
 奥沢2丁目 中村 裕

第59号 2015.4.28

 今年2015年、東京の桜の開花は例年より早く3/23、満開は3/30頃でした。4月に入ると早くも散り始め、残った桜花と緑の若葉が同居しています。桜の花が咲くと意外に沢山の桜木が近所にあることに驚かされます。

 さて我家から一歩道路に出ると桜の木が三本見えます。一本は近くの大木で、この時期、見事に花を咲かせます。幹は太く逞しいのですが老木です。この桜、私の小学校時代には既に大木で夏には沢山の蝉が集まってきました。油の煮えたぎる如くうるさく鳴いて、強く存在感を示し、格好の虫取り場所でした。夏休みが終わった後の展示会で菓子箱に蝉だけゴロゴロ無造作に入れ「一大作品」として出品していた仲間が居たのを覚えています。

 他の一本の大木は昨年と比べ大きく様変わりしてしまいました。道路に面した大木は電線との競合の末、太い幹は残したものの1/3程になってしまいました。花の量は減りましたが、それでも美しい花を今年も咲かせていました。住宅街の桜は節度ある枝張り・成長が求められると私は思っています。大きな決断の下、枝切りされたお宅には敬意を表します。

 桜と言えば八幡小の校庭の真ん中にあった桜の大木を思い出します。新校舎(現在の建物)が出来るとき切ってしまいました。見事な切り株が校長室かどこかに立てかけてあったのを覚えています。

 最後は我家からできるお花見についてです。東隣に染井吉野、南隣には山桜が咲き、この時期、良い気分に浸ることが出来ます。しかし桜木のあるお宅からは近過ぎて余りお花見はできないのかもしれません。もっぱら私どもが秘かに楽しませていただいております。桜の花が咲くと春がめぐってきたことを感じます。来年も元気で桜花に会いたいものです。来る春も春、行く春もまた春です。