近頃思うこと
 奥沢2丁目 清松 玲子

  第76号 2019.8.22

 数年前、わが家を訪ねてくれた友人が「このあたりは静か過ぎて、シーンという音がする。」と言っていた。電車の音がしない時は確かにシーンとしてしまう。

 人通りも少ない故か、この地域は空き巣被害が多いと聞く。現にわが家もかつて引越し後の空き家の状態なのにガラスを割られて侵入された経験があるし、隣の集合住宅の防犯カメラも事件に関わる人間の逃走経路を特定する為にチェックさせて欲しいと警察の方に頼まれたそうだ。

 こうなると静かな環境を喜んでばかりもいられないと思っていたのだが、このところもう何年も耳にしていなかった外で遊ぶ子供達の声が近くで聞こえるようになってきた。嬉しいことに私にまで「こんにちは。」と元気に声をかけてくれる。自然とこちらも二言三言会話を続けたりする。不思議なもので、人の声が響くと静かな空間が急に活気づくよう感じる。

 さらに春になり、桜はもちろん色とりどりの花々が咲く季節になって、近隣の散歩や土いじりの為に家の外で過ごす時間が徐々に長くなる。植物に水やりするだけでも家の周辺を見ている時間が増えるだろう。

 人通りの少なった道でも子供の目と大人の目が多くなってくれれば、空巣狙いも敬遠するのではないだろうか。

 ご近所には土の全く無い敷地にプランターと植木鉢を駆使して、一年中きれいな花々を楽しませてくれるお家がある。私もそちらを見習い、土の少ないわが家でも工夫して植物の世話をしてみよう。防犯の意味も含めて、少しずつでも家の外で過ごす時間を長くしていくよう、心がけたい。