終の棲家に選んだまち
 奥沢2丁目 長瀬 雅義

第1号 2000.7.1

 毎年々々萌葱色の新芽がふきだす季節を迎えると、終の棲家を奥沢に決めた頃を思い出します。

 60年近く住み慣れた緑豊かな住宅地に次から次ぎへと庭木のない高層マンションが建つのを嫌って、この季節に奥沢に引っ越してきたからです。ここを選んだ理由は容積率のため高層マンションがなく、どの家の庭木も程良く剪定されていて落ち着いた住宅街との印象がとても強かったからです。

 都会の住宅地というと住人の職業がまちまちなため、なかなか親しく言葉を交わす機会がないものなのですが、「土とみどりを守る会」に参加して、古くからここに住んでいらっしゃる方々と住みよい住環境を守るためにとあれこれ楽しくお話ができるようになって転居の喜びをかみしめている昨今です。

 また近くには季節ごとに質の高い旬のものを取りそろえている鮨屋や魚屋があることもこの地を離れがたいものにしています。

 湘南の鎌倉や逗子も候補地にしていましたが、住宅街の庭木が伸びるにまかせている家が多く、住民の美意識になじめなく二の足を踏んだことを付記しましょう。