「おくさわ」のまちとお祭り
 奥沢2丁目 酒匂 輝雄

第41号 2010.11.2

 「おくさわ」- – 静かな感じの名前。出先から帰った時など何か落ち着きます。緑多く、昔からの家々もあり、 安らげる。ほとんどが顔見知りの人達で何十年と言うお付き合いの方々が大勢住んで居られる土地です。そこで長く青果店を営む私がいつも心がけて居るのは、誰とでも、そしてひとりでも多くの方と笑顔であいさつする事です。御年配の方は種々の昔話をゆっくりとします。私も年寄りになったせいかよく話が合います。朝は店の前を通る保育園の園児さんたちと「お早う!」のハイタッチをして若さをもらいます。晴れの日は「お天気で良かったね」、雨の日は「きれいなブーツはけて良かったね。きれいな傘だね」と声をかけます。それに応えて足を上げたり、傘をグルグル回しながら通って行く子供たちを見るのは楽しいです。すぐ側の停留所からバスに乗る方とも「まだ行ってないね」などと言葉を交わします。「病院」や「買い物」、あるいは「ないしょの所」と目的地を告げて、笑いながらバスに乗る人。帰りに種々報告をして下さる方も居ます。

 ところで皆さん、お祭りは好きですか?子供の頃の楽しい思い出がたくさんありませんか? 私たち地元商店のみんなもお祭りが大好きです。そんな我々とみなさんとが力を合わせて作るのが「厄除け 大蛇みこし」、都内では珍しい手作りの神輿です。小学生から70歳以上の参加者のほとんどが地元の小学校の同窓生。作りながら昔の話が出たりして楽しい場になっています。大蛇の顔の出来が毎年少しちがうのも手作りだからこそ。がまんしてネ。お祭りの当日も、担ぎ手、見て下さる方ともに年々増えて嬉しいです。今日一日がんばって、トラブルや事故など無いように、との思いで見送ります。

 いつもお手伝いして下さる地元のみなさん、ありがとうございます。みなさんの力を借りてずっと続けて行きたいです。

 そしていつまでも、この小父さんとお友達でいて下さい。奥沢は生まれ育った私の「ふるさと」です。