震災後
 奥沢2丁目 古明地 秀正

第47回 2012.5.6

 東日本大震災から1年以上が経過、震災前と震災後の大きな変化には驚くべきものが有ります。震災前私は、「原発」は絶対安全と信じ、火力発電と違いクリーンで安定、将来は供給比率を高めていくべきとの考えでした。今となっては間違っていたと言わざるを得ません。原発事故の終息には何年が必要か、今誰も答えられません。廃炉にも30-40年かかり、使用済み核燃料の回収、保管と処理、目に見えない放射能の恐怖等、生活の不安は原発の周辺に留まりません。原発事故と言う「人災」の最大の罪深さは、福島人が生まれ育った「故郷」へ一生戻れぬかも知れないという恐怖心を持たねばならぬ事です。被災者にどの様に寄り添う事が出来るのか、解決策も思い付きません。今年の夏は電力需給が逼迫すると言われ、節電には協力するとしても、今は兎に角「脱、原発依存」を強く推し進めて行くことが肝心だと思っています。

 震災後流行した言葉に「絆」が有ります。都会に住んでいると、隣近所の人達との交流は多くは有りません。しかし地域の中でも絆は大切です。地震・津波に限らず自然災害及び緊急時に、隣近所の緊密な連携は不可欠だと思います。日頃から挨拶を交わし、ちょっとした情報交換をしている事が、役に立ち「防災対策」にも繋がるのではないでしょうか。奥沢2丁目界隈は高齢者が多く、一人住まいの方も多いようです。「絆」という震災の教訓を生かすべき環境に有ると思います。

 「土とみどり」に入会して1年程、地域に少しばかり貢献したいと思う気持ちで、会員・ご近所の方々と話す機会が少し増えました。被災地の問題は日本の問題であり、我が地域の問題もまた然りです。地震・津波・脱原発・復興・絆・防災・環境・土とみどり・平和・政治・経済、一見関係無いような言葉や現象が「根っこの部分」で連鎖しているように感じるのは私だけでしょうか。最後に瀬戸内寂聴の講話から引用、「自分の為でなく、人の為に尽くすという精神」(忘己利他~天台宗・最澄)が、今こそ必要ではないでしょうか。