第12号 2003.6.22
この地に移り住んで十年が過ぎ、やっと奥沢やまわりの町並が分かるようになりました。新居で迎えたお正月、玄関を飾ろうと小さな花瓶に松、菊、金や銀でお化粧された柳の小枝を生けました。その後花は枯れてしまい、水だけを取り替えていました。半月くらいしてもう捨てようかと思い、花瓶から抜いて見ると芽が出ていました。急にいとおしくなり「早く新しい土地になれる記念になる」と思い、庭の片すみに植えました。
実は、柳の枝がこんなに早く成長するとは知りませんでした。切ってもすぐに、青々とした葉が出てきます。二年ほど前の冬、大きくなりすぎたので幹だけ残して枝を全部切ってしまい、後になって枯れてしまうかと心配しましたが、春には元気一杯枝がはり、すぐに噴水のように四方八方おいしげってきました。本当は、公園の池のほとりに大きくたれさがる柳のようにしたいのですが、小さな我が家ではそういう訳にもいきません。それに家の前を通る人にも迷惑で…
夏、長く伸びた枝を何本か束ねて、クリスマスのリースの台を作ります。これを友人にさしあげると、喜んで下さいます。いつもなら厄介者の枝でも、役に立つと思うと余り粗末に出来ません。今度は花かごなど編んで、なるべく捨てないで利用しよう。九品仏川の遊歩道からゆるい坂を登る道、上からおおいかぶさる枝にたれさがる葉、何ともいえない愛着を感じるのは私だけですけど、これからも大切に育てていきたいと思っています。