心のゆとりを大切にしたい
 奥沢2丁目 北山 考二郎

第4号 2001.4.1

 私が大阪から移り住んで早くも15年が経過しました。

 仕事場が近いということで自由が丘周辺を捜していて、奥沢という地名を初めて知りました。関西とは違う町並みで緑が多く、道路に大木の枝がはり出していたのが印象的でした。

 ちょうど2丁目の三浦さんの離れが空いていてお借りしました。そこには大きな柿ノ木が二本、家の前と後ろに聳えていました。柿ノ木は秋に大きな実をいっぱいつけるのですがそれが終わると、ある日一斉に葉っぱが散って家の周りは落ち葉でおおわれます。前の木が甘柿で後ろの木が渋柿、実を収穫したり、落ち葉と格闘したり、たった2本の木が1年の移り変わりと近所の楽しいイベントをつくってくれました。また、近所に迷いネコが住み着いたり、あれやこれやと心温まる事件もいっぱいありました。

 10年程住み続けて手狭になったことと、この近くに私達の家を持ちたいと思うようになり、随分ながいこと土地を捜しました。近くの緑道沿に捜していた土地が見つかり、そこに自分で設計し移り住んでもう3年になります(私の職業は建築家です)。自宅の工事中には黄色い壁の色を見て「この色は下塗りですよね?」と通りがかりの人に訪ねられるほど目立った色でしたが今では木や草が大きくなり落ち着いてきたと思っています。  街の景色は随分かわりましたが、ここには変わらない何かが残っているような気がします。これからも、この場所で小さな街の自然とゆったりした人々とともに生活していきたいと考えています。